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はじまりの物語

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祖母山麓の自然で夏を満喫

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祖母山麓の恵まれた自然を生かした週末をご提案。夏はやっぱりアウトドア。子どもだけでなく、大人も一緒に楽しめるプランです。

アウトドア好きの梁さん一家。ポッドキャスト「金曜日の焚き火会」を運営するメンバーで、キャンプ好き。息子2人と一緒に祖母山麓を満喫してもらいました。

日常の喧騒を忘れて、河川プールでは、湧き水のスライダーが暑さを忘れさせてくれます。山に囲まれた小学校跡のキャンプ場では時間を忘れて静かな時間を過ごせます。反対に洞窟を探検すれば、忘れていたはずの冒険心がくすぐられるかもしれません。

1泊2日 モデルコース

1日目

2日目

SPOT 04


命水苑

1日目 10:00

湧水が育んだニジマスを釣る 命水苑

命水苑の前で記念撮影

勢いよく流れ出る河宇田湧水のすぐ近くにお食事処「命水苑」が店を構えています。養殖しているエノハ、ニジマスなどを提供する老舗で、生け簀のニジマスを釣って塩焼きにしてもらうこともできます。

店主から釣り方のコツを教わり、さっそく針を垂らします。お父さんに投げてもらった次男のリツくんが開始早々にヒット。あっさりと釣り上げました。

幸先のよいスタートでしたが、それからは目の前を無数のニジマスが泳いでいるものの、エサを取られるだけの時間が続きます。「魚たちも自分たちが釣られることはわかっているから必死」と店主。餌に食いついた瞬間に針を引っ掛けるのがコツのようです。

ちょっと遠くに投げるのがコツ。

アドバイスで閃いたのか、当たりのなかった長男ケンくんが1尾を釣り上げました。これで完全にコツを掴んだようで、続けざまに3尾を追加。「釣り方が分かった」と自信たっぷりに。次男も最後に大ぶりな1尾をヒットさせて嬉しそう。

弟に先を越されたものの、お兄ちゃんもこの通り。
釣った後の魚が触れなくて急いで網の中へ。

釣り上げた魚の頭を、店主が木槌で叩きます。意気がよすぎても困るので、調理する前に締めておくためです。長男は「見ちゃダメだよ」と顔を背けます。

「見ておきなさい」とお父さんに促されました。食べることは命をいただくということ。料理、食材がどのようにして作られるのかを、目の前で見ることができる大切な時間でした。

がぶりと素手で食べるのが一番おいしい食べ方
  • メニュー:えのは御膳/全8品3,278円、全9品4,378円、全12品5,478円(税込) その他単品メニュー
  • 有駐車場:有                                      
  • トイレ:有                                         
  • 設備詳細:釣り/釣り代とエサ代は無料ですが、釣った魚は全て持ち帰り(内臓処理済)か店内で食べることもできます。                                       
  • 釣り代金(ニジマス):100g/300円                               
  • 調理代金: 1尾/150円                                     
  • クーラーボックス代金:1箱/400円

  • 住所:〒878-0033 大分県竹田市大字入田20番地
  • TEL:0974-63-2163
  • 営業日等:不定休  11:00〜17:00 (17時以降は要予約)

SPOT 02


中島公園河川プール

1日目 12:00
ほかにはない湧水のスライダー 中島公園河川プール

短いながらもスピード感たっぷり

夏の思い出づくりにぴったりなのが中島公園河川プールです。一番の目玉はなんといってもスライダー。スピード感と水の冷たさがとても爽快なのですが、流れている水に驚かされます。

横にある「河宇田湧水」が流水に使われています。絶えず流れているのが「名水百選」に選ばれた水だなんて、なんとも贅沢です。ちなみに、河宇田は竹田湧水群の中でも、湧水量がもっとも豊富な水源です。

子どもだけでなく、梁さんもスライダーで大はしゃぎ。スピードに乗っている間は「嫌なことが全部忘れられる」と非日常を満喫していました。

仰向けに寝て滑ったり、頭から行ったり。創意工夫を凝らして滑ります。

スライダーの終着点となるプールに飛び込んだ子どもたちが「あっ」と指差しています。その視線の先では、小さな影が水中を動いていました。目を凝らしてよく見ると、魚の群れです。

湧水と緒方川の流れを生かした天然のプールならではの驚きは他にもあります。スライダーから離れて川の中を歩くと、水温の違いに気づくことでしょう。上流からの水は湧水ほど冷たくありません。ふたつの流れを肌で感じ取ることができます。

河宇田湧水が流れ込む緒方川。親子で楽しめる浅瀬になっている。

天然のプールはほとんどが浅瀬なので、小さいお子さんが一緒でも安心。梁さん一家の次男リツくんも小学1年生ですが、怖がることなく遊べる水深でした。

幸せの青い鳥や奇跡というのは意外と身近にあって、気づきにくいものかもしれません。祖母山麓で暮らす人たちにとって、河川プールはそんな場所かもしれません。

名水をかけ流しにしているプールは奇跡のようなスポットです。

  • 料金:無料
  • 駐車場:有(500円)※夏季期間のみ
  • トイレ:有
  • 設備詳細:ロッカー(有料)
  • 住所:〒878-0033 大分県竹田市入田8

河川プールの奇跡

そんな場所で、実は取材中に奇跡とも言える出来事が起きました。

梁さんが何度もスライダーを滑っていたら、水中でメガネを紛失。予備がないため、息子のメガネを借り、梁さんは周囲にいた人も巻き込んで大捜索を行います。しかし、水の流れにさらわれたのか、いっこうに見つかりません。

スライダーを満喫する梁さん。目元には買ったばかりの調光レンズのメガネ。

数時間が経ち、諦めムードが漂っていた時に、梁さん一家がまた不運に見舞われます。

川の流れに乗って、黄色が遠ざかっていきました。その上流には立ち尽くすリツくん。片足だけが黄色のサンダルで、反対側は裸足でした。

サンダルが流されてしまい悲しみに打ちひしがれる梁さん一家。

鮮やかなサンダルは流され、どんどん小さくなっていきます。その光景にリツくんは号泣。梁さんが慌てて下流を探しに行ったものの、見つかる確証はありません。

しばらくして戻ってきた梁さんでしたが、その手にサンダルはありませんでした。申し訳なく思いながら、息子の足元に目を落とすと、その両足には見慣れたサンダルがありました。

ないはずのものがあると、人はとても驚いてしまいますが、そんな時こそ冷静に。湧水のようにクールになりましょう。

サンダルが流された直後に、地元の少年がすぐに気づき、取りに行ってくれたそうです。河川敷を走って先回りして、無事にサンダルを回収し、プールの監視員からリツくんに手渡されました。

メガネは見つからなくとも、サンダルだけでも無事で何よりです。それまでの暗い雰囲気から、すこし明るさを取り戻して帰ろうとした時です。

「最後にもう1回だけ」と梁さんの提案でメガネを捜索することに。あちこち探してみるものの、やはり見つからず。諦めかけたところで、仲間の1人がメガネを見つけました。

スライダー横の土手の上に置かれていました。川ばかり見ていたので発見できませんでしたが、誰かが先に見つけて置いてくれていたようです。

メガネが見つかったと思ったら右目のレンズがありませんでした。

しかし、右目のレンズがありません。見つかったものの、素直に喜びにくい状況です。それでも「見つかってよかった」と梁さん。周囲に気を遣わせないように笑顔を振りまきます。おどける梁さんの姿は少しばかり空元気のようにも見えました。

「あの」

帰路に就きかけた矢先に、梁さんは背中越しに声をかけられました。

振り向くと、コワモテな男性が立っていました。真っ赤な髪にサングラス、ごついネックレスという装い。怖いお兄さんかと思いきや、「これ、探してませんか」と梁さんにレンズを手渡しました。

梁さんたちが喜んでいる様子を見ていたようで、「たまたまスライダーのところで見つけて」と届けてくれたそうです。

見つけてくれた少年、お兄さんの優しさも含めて河川プールの「奇跡」です。梁さん一家にとって忘れられない夏の思い出ができました。

メガネとサンダルを落としたら思い出が増えました。終わりよければすべてよし!

SPOT 18


TENBA(あ祖母学舎)

1日目 16:00

小学校跡のキャンプ場で贅沢な時間 TENBA(あ祖母学舎)

広々としたグラウンドがテントサイト。木陰にテントを張りました。

濡れた髪をそのままに、河川プールから急いで移動します。車で20分かからずに到着したのは小学校の跡地を活用した体験・宿泊施設「あ祖母学舎」。そのまま泊まることもできますが、今回は週末限定のキャンプ場「TEN-BA(テンバ)」で夜を過ごします。

外周ならどこに野営してもOK。テントを立てたくて急いで車を走らせたわけです。

梁さんの指示で、大きなテントが手際よく設営されていきます。子どもたちも慣れたものです。

日没よりもかなり早く完成したので施設を探検。校舎の裏にはマウンテンバイクのコースが設けられていました。

ヘアピンカーブや曲がりやすいように付けられた傾斜「バーム」が設けられ、なかなか本格的なコースです。急傾斜や小刻みなアップダウンの連続で、梁さん一家は苦戦して転びそうになることも。それでも乗り続けているうちに、後半はしっかり乗れるようになりました。

コースはまだオープン前ですが、バイクのレンタルも検討しているそうです。

マウンテンバイクのコースは、木々の間を駆け抜けるため、疾走感を楽しめます。

<現在準備中 詳細未定>

  • 料金 
  • 駐車場
  • トイレ有
  • レンタル品
  • 住所

あ祖母学舎

あ祖母学舎では、テント泊だけでなく、教室に宿泊することもできます。別料金になりますが、お風呂や洗濯機も利用可能。ランチルームには冷蔵庫もあり、視聴覚室でプロジェクター(要問合せ)も使えます。

いっぱいになるのに30分程かかります。※宿泊者がキャンプ泊のみの場合は500円でシャワーのみになります。
走っても怒られない廊下。
スクリーンが常設されているのでプロジェクターなどを持ち込めば映画鑑賞会もできます!

日が暮れて涼しくなってから、夜の宴は始まります。梁さんが腕をふるい、カツオのたたき、パエリア、サムギョプサルと次々に大皿を仕上げていきます。木々に囲まれたキャンプサイトは静けさに包まれ、焚き火の薪がはぜる音がやけに大きく響きます。贅沢な時間がゆっくりと過ぎ、夜が更けていきました。

周辺に明かりが少ないため、夜は満天の星空を眺められます。

あ祖母学舎/あ祖母学舎キャンプ場「TEN-BA」

  • 住所:〒878-0574  大分県竹田市大字神原13番地 TEN-BA あ祖母学舎 校庭(TEN-BAは宿泊貸切時には利用不可のため予約必須です)
  • 電話:0974-67-2121 (キャンプ予約とお伝えください)

あ祖母学舎

  • 宿泊料金:大人 2,730円(素泊まり、入浴込み) / 高校生 1,580円(素泊まり、入浴込み) / 中学生 1,270円(素泊まり、入浴込み)/ 小学生 1,050円(素泊まり、入浴込み) ※上記に1人あたり170円のエアコン使用料が加算されます)
  • 家庭科室:1,000円(1H)
  • 音楽室:220円(1H)
  • ランチルーム:530円(1H) ※その他何かございましたらお問合せください
  • 駐車場:有

あ祖母学舎キャンプ場「TEN-BA」

  • 料金:テント1張り タープ1張り 2,000円 
  • 駐車場:有
  • トイレ:有(屋外)
  • レンタル品:少量のためお問合せください

SPOT 08


牧ノ城

2日目 7:00

手軽に眺められる天空の絶景 牧ノ城(まきのじょう)

ぐっすり休んだ翌朝は、太陽がまだ山の陰に隠れているうちに出発。そのまま祖母山の神原登山口から登っていくのもよいのですが、手軽にハイキングを楽しむなら牧ノ城に行きましょう。

中腹にある駐車場までは車でアクセス。登山口からは一本道です。急傾斜もありますが、とても短いので、ちょっと息を切らしているうちに終わるはず。子どもたちの足でも20分とかからず天空感のある山頂部に到着です。

短時間で山登り気分を味わって終わりではありません。山頂からの景色は、登りやすさとは対照的な絶景です。祖母山、阿蘇山、くじゅう連山という九州を代表する名峰を見渡すことができ、達成感を高めてくれることでしょう。

短いながらも登りごたえのある斜面。
山頂からの眺めはコスパ抜群。

牧の城

  • 利用料:私有地になりますので、協力金100円のご協力をお願いします。 
  • 駐車場:有
  • トイレ:無
  • 住所:大分県竹田市大字太田

SPOT 25


穴森神社

洞窟はちょっとひっそりした雰囲気。

2日目 9:00

気軽にチャレンジ洞窟探検 穴森神社 

山に行った後はちょっと趣向を凝らして潜りましょう。

向かった先は穴森神社です。由緒ある神社には「大蛇伝説」が残されています。

この神社の岩窟に、神様の化身である大蛇が住んでいたと伝えられており、1703年には大蛇の骨が発見され、御神体として祀られることになったとされています。

本殿でお参りを済ませてから、裏手に回り階段を下りて洞窟へ。入り口のそばで、200円を払って照明のスイッチをオンにします。

照明は1回につき30分有効。真っ暗だった洞窟に明かりが灯ったのを確認して、探検の始まりです。

洞窟探検というとハードルが高そうですが、ルートは下り基調の一本道で道に迷うことはありません。探検というロマンあふれる言葉の響きはそのままに、気軽にチャレンジできます。

もっとも、電灯に照らされているとはいえ、洞窟内は薄暗く、足元を水が流れているところもあります。梁さんも足場を確かめながら慎重に歩きます。

洞窟の天井に手がつきそう。非日常を体験してみんな笑顔。

子どもたちもはじめは緊張していたようですが、動いているうちに気持ちがほぐれてきたのか、楽しそうに下っていきます。低くなっていく天井に苦戦する大人たちとは対照的です。天井に止まっていたコウモリが飛んでも、驚きの声をあげて怖がるのは大人ばかりでした。

穴森神社

  • 駐車場:有
  • トイレ:有
  • 住所:〒878-0013 大分県竹田市大字神原1432番地

SPOT 19


神原渓谷

11:00

水遊びをするならここ。まだまだ穴場 神原渓谷

犬連れのグループも。リードはお忘れなく。

ひんやりした洞窟から外に出ると、まだ午前の早い時間帯なのにこの日も厳しい暑さでした。そんな時は山よりもやっぱり川。神原渓谷で水遊びすることに。

ひっそりとした渓谷はまだ穴場です。大勢の人でにぎわう河川プールとは違った楽しみ方ができるはず。岩の上から飛び込んでみたり、川の流れに身を任せてみたり。犬を連れてきて、一緒に遊んでいるグループもいました。

自然を満喫できるスポットですが、自然だからこそ注意したい点も。浅い場所と極端に深い場所があります。子どもが川の深みにはまらないよう目を配る必要があります。

また、駐車場が整備されていないので、駐車する場所を探すのが難しいですし、トイレもありません。川の上流部なので、下流で遊ぶ人のことも考えておきたいところです。

神原渓谷

  • 利用料:無料 
  • 駐車場:5台程度
  • トイレ:無
  • 住所:〒878-0013 大分県竹田市大字神原

SPOT 13


神原渓谷

15:00

意外と目立たない?!話題のスポット 野生のモアイ

バッハの横顔?いいえ、野生のモアイです。

木々が茂っているのと、横顔の堀が深いせいで、音楽家の肖像画みたいですが、これこそがモアイです。

河川プールを起点にすると、車で県道8号を西に7kmちょっと走ります。右折した先に突如として野生のモアイと名付けられた巨岩が現れます。

頭部だけで大きさが10mをゆうに超えています。イースター島の本家がだいたい4mほどなので、野生のモアイがいかに巨大かが分かります。全長はいったいどれほどになるのでしょう。想像力を掻き立ててくれます。

野生のモアイ

  • 駐車場:無
  • トイレ:無

[ガイドツアー問い合わせ先]

竹田市観光ツーリズム協会

0974-63-0585

[大分県竹田市の宿泊、観光情報サイト]

たけ旅

https://taketa.guide

text:Takuya Wakaoka

photograph:Tomokazu Murakami

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