祖母山麓で過ごす女将の休日
自然を肌で感じつつ、ゆったりしたいけど、時間があまりかけられない。そんな時には、忙しい日々を過ごす女将の休日が参考になるかもしれません。祖母山麓の魅力を満喫して、半日でリフレッシュ。午後には仕事場に戻ることもできるプランです。
癒しのショートトリップ モデルコース
- 9:00〜 SPOT 05 泉水湧水 💧
- 9:30〜 SPOT 06 諏訪神社 ⛩️
- 10:00〜 SPOT 26 緩木神社 ⛩️
- 11:00〜 SPOT 16 宮砥工藝舎 🏬
- 12:00〜 SPOT 10itonami kitchen 🥗
リフレッシュの達人は「町娘」
おすすめ休日プランを紹介してくれたのは、竹田市の老舗ビジネスホテル「トラベルイン吉富」で女将を務める井上真由子さん。
女将としてホテルを切り盛りしつつ、町娘の「おまゆ」としても活動する井上さん。大好きな岡城の魅力を紹介するため、町娘の衣装をまとってお客さんを案内しています。
なにかと忙しい日々を送りつつも、笑顔で働けるのは休日が充実しているから。とある休日に同行しました。
SPOT 05 / 06
9:00
静けさに身を委ねる
泉水湧水・諏訪神社
竹田市の中心部にあるトラベルイン吉富から車を走らせること10分、道路脇にある砂利が敷かれた駐車場に入り、車を下りて訪れたのは泉水湧水でした。日本名水百選に選ばれた竹田湧水群の1つでありながら、民家の横にぽつんとあり、静かに水をたたえています。
まわりに囲いや整備された水くみ場があるわけでもなく、ふらりと足を運びやすいスポットです。
休日を過ごすのに必要な分の水をくみます。それだけなら、すぐに終わりますが、透明度の高い清水が流れていく様子を眺めていたら、その時間の方が長くなっていました。
静けさの中で、清流の水音が奏でる調べに耳を傾け、おだやかな気持ちになりました。
泉水湧水から山の方に道を進めば、諏訪神社に至ります。森の中にお社(やしろ)があり、ぽっかりと開けた空間は、泉水湧水よりもさらに静かでした。心なしか、空気が周辺よりもひんやりしています。
ひとけはなくとも、本殿の周りがきれいに整えられていました。地元の方々が定期的に手を入れているからだそうです。
お参りをさっと済ませて、ゆっくりと流れる時間に身を委ねます。何もしない贅沢なひとときで、心身をリラックスさせることができました。
スポット 05/06
泉水湧水・諏訪神社
- 料金:無料
- 駐車場:有
- トイレ:無
- 住所:〒878-0033 大分県竹田市大字入田
- 地図:Googleマップ →
SPOT 26
10:00
境内に感じる地元愛
緩木神社
「ここもお気に入りの場所です」と足を運んだ先は、緩木山のふもとにある緩木神社でした。
かつては山中にあった歴史のある神社で、日本武尊(やまとたけるのみこと)の父である景行天皇の時代にいわれを持つとされています。
苔むした鳥居や杉の巨木が並んだ参道は、厳かな雰囲気を漂わせていました。神職が常駐しているわけではないのですが、境内はきれいに整えられています。こちらの神社も地元に愛され、清掃されていることが分かり、清々しい気持ちになりました。
神社から登山口はすぐ近くで、そのまま緩木山へと登っていくこともできます。
歩くパワースポットとの出会い
この日は登山せずに引き返そうとしたら、スクーターでやってきた女性に声をかけられたました。陽気に話しかけてきますが、フルフェイスのヘルメット姿で、誰か分からずに困惑していると、女性も気づいたようで、急いでヘルメットを脱ぎます。
顔を見て「ああ」と井上さんも納得。さをり織り作家の高木康子さんでした。井上さんが高木さんの織物教室に通っていたこともあり、面識のある間柄です。
「ちょっと川を見に行こうと思っててん」「何してんの」「元気?」と高木さんから一方通行のトークが繰り広げられます。実にパワフルです。
スポット 26
緩木神社
- 料金:無料
- 駐車場:有
- トイレ:無
- 住所:〒878-0572 大分県竹田市大字九重野848番地
- 地図:Googleマップ →
SPOT 16
11:00
感じるままに織る
宮砥工藝舎
緩木神社から北に車で10分ほど、宮砥郵便局の先に高木さんの拠点にしている「宮砥工藝舎」があります。旧宮砥小学校を利用しているため、広々とした空間です。
到着して世間話もそこそこに、機織りが始まります。井上さんは久しぶりの作業ですが、特に指導されることもありません。思い出せないところを聞くことはあったものの、自由に織っていきます。
高木さんの機織り教室で大切にしているのは、自分らしく、感じるままに織ること。型にはまらず、あるがままを肯定します。
たまたま声をかけられ、機織りをすることになりましたが、この日の過ごし方にぴたりとハマる1コマでした。
スポット 16
宮砥工藝舎(竹田市福祉施設はくすい・宮砥分館(みやどぶんかん))
- 料金: 体験3,000円(2時間糸代金込み)、教室5,000円(糸代金別) 但し、その月に2回来た場合は2回目は1,000円(糸代金別)
- 駐車場:有
- トイレ:有
- 住所:〒878-0571 大分県竹田市大字次倉4459番地1
- TEL:0974-67-2001
- 地図:Googleマップ →
SPOT 10
「いつ来てもおいしい」野菜と発酵食
itonami kitchen
楽しい時間を過ごしているうちに、お昼が近づいてきました。高木さんに別れをつげて、予約しておいたitonami kitchenへと向かいます。
宮砥工藝舎から緒方川に沿って、さらに車で北に10分ほど。のどかな田園風景の集落に店を構えています。
空き家をリノベーションした店内はすっきりしていて、おしゃれ。そして、健康的です。地元の有機栽培や無農薬の野菜にこだわり、手作りした麹を使った発酵調味料で仕上げた料理が食べられます。
「いつ来てもおいしくて飽きないんです」と井上さん。プレートランチは色彩が豊かなだけでなく、季節の野菜を取り入れているから、来るたびに変化が楽しめるそうです。
半日だけの同行でしたが、それ以上に長く感じられたのは、祖母山麓という場所の持つ奥行きのおかげかもしれません。癒しのショートトリップに誘われてみてはいかがでしょうか。
撮影時期に旬を迎えていた夏野菜たっぷりのランチプレート。左下の揚げ物はドーナツではなく車麩。
itonami kitchenの近くには長小野湧水(鳴瀧)があります。
スポット 10
itonami kitchen(いとなみきっちん)
- 料金:ランチ 1,650円(税込)※1日のランチの数が限られるため、予約するのがお勧めです。
- 営業日:毎週金曜・土曜 11時半〜15時 ※不定休あり、インスタをチェック。
- 駐車場:有
- トイレ:有
- 住所:〒878-0034 大分県竹田市門田1402
- TEL:080-3902-1534
- WEB:公式instagram →
- 地図:Googleマップ →
[ガイドツアー問い合わせ先]
竹田市観光ツーリズム協会
0974-63-0585
[大分県竹田市の宿泊、観光情報サイト]
たけ旅
text:Takuya Wakaoka
photograph:Tomokazu Murakami