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祖母山麓トレッキングルート

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竹田を「学べる」ゲストハウス

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旅の拠点となるゲストハウスは、地域と旅人をつないでくれます。たけた駅前ホステルcueもそのひとつ。オーナーである堀場貴雄さんは、祖母山麓の自然と人とをつなぐ「きっかけ」をつくる役割も担っています。竹田の自然をより深く知るツアーに参加してみました。


堀場貴雄

ほりば・たかお 2014年に妻さくらさんとともに竹田市へ移住。地域おこし協力隊として3年間活動した後、築80年を超える古民家を改装。2017年にゲストハウスたけた駅前ホステルcueをオープン。オーナーとして宿を切り盛りしつつ、インタープリターとして竹田の自然とお客さんをつなぐガイド役も務めています。夫妻が出会ったのは南の島のゲストハウスという旅好きです。

学校で教えてくれないことを学べる場所

ツアーは神原登山口から五合目小屋まで。ペースはおしゃべりしても息が切れない速度です。
登山道脇にひっそり生えていたキノコを発見!

登山道のかたわらに、小さなキノコがそっと顔をのぞかせていました。

先に白状すると、自分の力でキノコを見つけたわけではありません。堀場さんが指差してくれて初めて気付けたのでした。

あのキノコは食べられるのでしょうか。そんなことを考えていると、「自然の中に無駄なキノコは存在しないんですよ」と堀場さん。おいしいキノコは有益で、毒キノコが無駄というのは人間の都合ということでしょう。言葉にはっとして、説明に耳を傾けます。

例えば倒木に生えたキノコは、その木を分解して、土へと還していきます。虫に生えるキノコもありますね。それぞれの得意な場所で成長して、土を耕しているのです。キノコが「森の掃除屋」と言われる所以でもあります。

堀場さんから突然のクイズ。自然の営みについて楽しく学べます。

トレッキングではこうして時折、立ち止まっては、堀場さんが自然の役割や、名水として名高い竹田の水について説明してくれました。ゆったりとしたペースで登り、休憩もたっぷり。登山の経験があまりなくても、参加しやすくなっています。

下山する頃になると、自然からたっぷり学んだ知識は、一つの大きな物語となり、心地よい疲れと共にしっかりと記憶に残っていました。植物やキノコの名前があやふやなのは秘密です。

詳細について、ここで書いてしまうのはもったいない。気になる方はツアーに参加して、実際に山を歩いて体験してください。

ツアー開始から1時間程度で五合目小屋に到着。コースタイムより2倍ほどのペースでした。
五合目小屋でひと休み。堀場さんお手製のスペシャルおやつとコーヒーを楽しみました。

ゲストハウスは地域の「入り口」

旅の入り口となる、たけた駅前ホステルcueは豊後竹田駅から至近です。

昔ながらの風情が残る古民家。引き戸を開けると、おしゃれな空間が広がっていました。きれいに並べられたパンやお菓子を手に取る人、カフェスペースでのんびりおしゃべりをしている人も。古材の落ち着いた風合いや天井が高いこともあってか、訪れる人をあたたかく迎えて入れてくれる雰囲気が漂っています。

ここが堀場さんの本業となる職場、たけた駅前ホステルcueです。JR豊後竹田駅から徒歩3分足らずに位置するゲストハウス。そのオーナーが堀場さんです。

外に出れば、すぐそこに駅が見えます。
カフェ、バー、パン屋さんとしての顔もあり、地域内外の人が集います。
共有スペースから中庭を眺めます。大きな溶結凝灰岩が鎮座するのも竹田らしさ。

2014年に地域おこし協力隊として千葉県から竹田に移住し、妻のさくらさんと「自分たちの手で旅人を受け入れる場を作りたい」と準備を進めてきました。10年以上にわたって空き家となっていた古民家に出合い、リノベーションを経て、2017年4月にゲストハウス開業という夫婦の夢をかなえました。

ゲストハウスの名前である「cue」は、英語で「きっかけ」という意味。お客さんにとって、この宿が竹田を知り、竹田を好きになるきっかけになってほしいと、願いを込めて名付けました。実は、ゲストハウスは堀場夫妻がともに人生を歩むようになった「きっかけ」でもあります。というのも、おふたりの出会いは、別々に旅で訪れた波照間島のゲストハウス。たまたま宿泊したことから縁が生まれ、結婚するに至りました。

旅好きな堀場さんは、ゲストハウスが地域への「入り口」だと考えています。まちの外からやってくるお客さんが荷物をおろし、地域に入っていく拠点になるからです。そして、入り口だからこそできる役割があるとも確信しています。

共有スペースの守り神。堀場さん夫婦は、二人三脚で縁を繋いでいます。
のれんを掲げるさくらさん。1日の始まりです。
希望に応じて街中のおすすめスポットを教えてもらえます。

お客さんの多くは、竹田に楽しい体験を求めてやってきます。いろんなスポットを巡る旅も軽やかでよいものですが、より深く竹田を楽しんでもらうために、地域の魅力を紹介する案内者になろうと、堀場さんはインタープリターを目指しました。

いろんな場所を足早に巡るのではなく、お迎えしたお客さんにはゆっくりと、楽しさと、そして学びを体験してもらうのが堀場さんにとっての理想です。

「表面的な楽しさだけでなく、より深く知ることで、竹田を好きになってもらいたい」と堀場さんは語ります。

例えば、川で水遊びをして「あぁ、楽しかったね」で終わる。そうではなく、「ここの水はどうしてこんなにキレイなのかな?」と思ってもらえたらいいと堀場さん。そこから「日本の水道水は飲めるけど、他の地域ではどうだろう?」「世界では、それが当たり前じゃないかもしれない」などと、気づきが得られるかもしれません。

自然以外にも竹田には食や城下町としての歴史などの魅力があります。もしも、お客さんが興味を持ってくれれば、仲間や地域の専門家を紹介することも。それも「入り口」を担う堀場さんの役割です。

自然から、そして地域からの「学び」を味わうきっかけをくれる、竹田の入り口。それが、たけた駅前ホステルcueなのです。

アットホームで笑顔の絶えない空間でした。


ツアー紹介

祖母山の神原登山口から五合目小屋を歩き、戻ってくる2〜3時間のツアーです。登山道周辺の自然に触れながら、自然の循環や山の生態系について知ることができます。ゲストハウスのオーナーだけあって、堀場さんのホスピタリティーあふれるガイドで、登山初心者でも気軽に参加できます。

◆竹田市観光ツーリズム協会

0974-63-0585

ご予約の際に「祖母山麓エリア再生プロジェクトのホームページを見た」とお伝えください。

[大分県竹田市の宿泊、観光情報サイト]

たけ旅

https://taketa.guide/

text:Takuya Wakaoka

photograph:Tomokazu Murakami

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